シンポジウム「サンゴとサンゴ礁の生き物たち」(2018年9月22日)を開催しました。
関連して2018年9月7日〜9月21日にかけて、TwitterとFacebookでカウントダウンコラムを実施しました。
このイベントはカウントダウンでイラストの一部をコラムと共に公開し、最後にはサンゴ礁の
生き物たち全体のイラストができるというものです。
山根氏制作の素敵なイラストと、椿氏によるサンゴ礁の生き物についての不思議や生き様を
知ることができるコラムは必見です!
ここでは掲載されたコラムと、より詳細なコラムを掲載いたします。
「サンゴとサンゴ礁の生き物たち」イラスト全体
イラスト制作者:山根 美子 氏(京都大学大学院)
[コメント]このイラストでは、サンゴ礁に生きるさまざまな生き物たちの「生き様」を切り取り、
一枚の絵にすることによって、サンゴ礁生態系が多様な生物間相互作用によって下支えされている
ということを一目で感じていただけるようにと制作いたしました。
イラストの中には、今回のご講演の中に登場する生き物たちもたくさん潜んでいます。
隠れている生き物たちをぜひ探してみてください。
カウントダウンコラム (文責:椿 玲未)
コラム1 サンゴの生態
サンゴは植物と勘違いされることも多いですが、実は立派な動物で、クラゲやイソギンチャクの仲間です。サンゴの表面を拡大してみるとポツポツと穴が空いていて、その穴一つ一つにイソギンチャクのような形のサンゴの本体(ポリプ)が埋まっています。このたくさんの小さなポリプたちが石灰質の骨格を作り、それが長い時間をかけて蓄積することでサンゴ礁が形成されます。 ポリプは触手を伸ばして水中のプランクトンを捉えて食べると同時に、体の中に褐虫藻と呼ばれる藻類を住まわせ、褐虫藻が光合成で作り出した栄養ももらいうけています。 詳しくはコチラ⇨ サンゴの生態 詳細 |
コラム2 サンゴたちの場所取り合戦
色とりどりのサンゴが並ぶ、美しいサンゴ礁の風景。しかしその美しさの陰では、住み場所をめぐる熾烈な競争が日々行われています。 サンゴは光合成をする褐虫藻の助けを借りて生きているため、たっぷりの光が必要です。そこでサンゴは、日当たりの良い人気スポットを手に入れるために、あるいは死守するために、近所のサンゴ達と日々静かなつばぜり合いを繰り広げています。サンゴは種によってさまざまな武器を持ち、体内の隔膜糸という組織や、スイーパー触手と呼ばれる長い触手を使う攻撃などがあります。隣のサンゴに覆いかぶさるように成長して、日当たりを奪う戦略もあります。 詳しくはコチラ⇨ サンゴたちの場所取り合戦 |
コラム3 サンゴをかじる生き物
サンゴは刺胞と呼ばれる毒を持った細胞で自分の身を守っています。しかし海には、刺胞攻撃をものともせずサンゴを食べる生物がたくさんいます。例えばチョウチョウウオの仲間は、細く突き出た口先でサンゴのポリプを突っついて食べ、カンムリブダイは石灰質の骨格ごと齧って食べます。ゴマモンガラのようにサンゴの奥にいるウニや貝などを食べるためにサンゴをかじって破壊する魚もいます。 魚以外にも、オニヒトデやシロレイシダマシという巻貝、一部のウミウシなど、さまざまな生き物がサンゴを食べます。中でもオニヒトデは、たびたび大発生してサンゴ礁に大きな被害をもたらします。 詳しくはコチラ⇨ サンゴをかじる生き物 |
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このカウントダウンコラムのイラストは全て繋げると最終的には一枚の絵になります。
コラムの更新はあと5回の予定です。
どのような生き物が出てくるかお楽しみに!
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コラム4 サンゴの白化
海水温の上昇などの環境ストレスを受けると、サンゴの体から共生していた褐虫藻が出て行ってしまいます。褐虫藻がいなくなったサンゴは白い石灰質の骨格が透けて見えるようになるため、これをサンゴの「白化」と言います。白化したサンゴはやがて死に、骨格だけが残ります。 死んだサンゴの上には付着藻類などが繁茂するので、新たにサンゴの赤ちゃんが流れ着いてもうまく引っ付くことができません。さらに死サンゴは、一部の海綿や二枚貝類などによって削り取れてどんどん脆くなり、やがて元の形を保てなくなります。そのため、一度白化が起きてしまうとサンゴ礁の再生はなかなか難しいです。 詳しくはコチラ⇨ サンゴの白化 |
コラム5 サンゴ砂を生む生物
サンゴ礁といえばサラサラの美しい白い砂浜。実は、あの美しい砂は生き物たちによって作られているとご存知でしたか?最も有名なサンゴ砂は、お土産としても売られている星の砂です。可愛らしいこの砂は、実は「有孔虫」という単細胞生物の死に殻です。 しかしサンゴ砂の大部分は有孔虫ではなく、サンゴの「削りカス」でできています。ブダイの仲間は硬いクチバシでサンゴごと削り取って食べ、それを糞として排泄します。他にも、一部の海綿はサンゴを削り取って侵食し、その際に出た削りカスを体の外に吐き出します。 詳しくはコチラ⇨ サンゴ砂を生む生物
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コラム6 サンゴ砂に住む生き物
一見何もいないようなサンゴ礁の砂の中にも、実はいろんな生物が潜んでいます。二枚貝やゴカイはその代表で、海底を徘徊するカニやエイなどの格好の餌になります。また、ブンブクと呼ばれるウニも棘で器用に砂の中に潜ることでき、砂から出ることはほとんどありません。 一方、ずっと砂の中に住むわけではないですが、一時的に砂に潜って外敵をやり過ごす魚も多いです。チンアナゴの仲間は普段は砂の中に下半身を埋めて流れてくるプランクトンを捉えて食べていますが、危険が迫ると砂の中に身を隠します。リュウグウベラギンポやトビギンポ、テンスなどの魚も砂の中を隠れ場所としてうまく利用しています。 詳しくはコチラ⇨ サンゴ砂に住む生き物 |
コラム7 寄生と共生
サンゴ礁域は、地球上でも指折りの生物多様性の宝庫です。狭い海域に多くの生物種ひしめきあいながらもうまく共存できている背景には、寄生や共生といった生物同士の密接な関わり合いがあります。 たとえばウミクワガタという甲殻類は、幼生の時には魚の体の表面に寄生して、魚の体液をすすります。そしてウミクワガタなどの寄生虫がついた魚は、ホンソメワケベラなどのいわゆる「掃除魚」の元に出向き、そういった寄生虫を食べてもらいます。この関係は、寄生された魚は寄生虫を除去してもらい、掃除魚は楽をして餌を得ることができるという、互いにメリットがある共生関係です。 詳しくはコチラ⇨ 寄生と共生 |
コラム8 サンゴ礁に暮らす生物
サンゴは生き物であると同時に巨大な立体構造物でもあるため、サンゴ礁は様々な生き物達に隠れ場所や付着場所などの空間を提供しています。 枝状のサンゴに近づくとスズメダイ達はさっとその隙間に身を隠し、さらに目を凝らして枝の上をくまなく見てみると、サンゴヤドリ、シマウグイスなどの貝類、サンゴガニやサンゴヤドリガニにクモヒトデなど、実に多様な生き物たちが潜んでいることがわかります。また、ハマサンゴなどの体内にはイバラカンザシというゴカイの仲間や、フタモチヘビガイが体を埋没させて暮らしています。 詳しくはコチラ⇨ サンゴ礁に暮らす生物 |
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カウントダウンイラストの全体像を公開!
コラムのテーマに合わせて様々な生き物が隠れていました。
みなさんどれだけ見つけられましたか?