第12回磯の生物勉強会(5月11日~13日)を実施しました。


瀬底研究施設管理棟と海岸(ともに菅佐原智治氏撮影)
今年は琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設にて行いました。参加者は20名(うち事務局2名)で、遠方からも多くお集まりいただきました。5月11日、瀬底臨海実験所に集合し、講師の山城秀之先生(琉球大学・教授)に様々なサンゴのお話をしていただきました。まずは研究施設のガイダンスと概要をご説明いただきました。その後、サンゴの分類や体の作りなどのお話を聞き、サンゴの白化についても勉強しました。
温度だけでなく、捕食者による攻撃や病気によってもサンゴは死んでしまうそうです。別の種類のサンゴが隣り合わせにいるところは、互いに仲良くいるように見えるが、実は刺胞やスウィーパー触手などで互いに攻撃しあっているとのお話に、皆さんも衝撃を受けました。サンゴ同士は仁義なき戦いを続けているそうです。



ガイダンスと施設の説明
その後、野外にある水槽で生きたサンゴの観察をしました。よく見るとサンゴからスウィーパー触手が
伸びていることも見ることができました。
また、シアノバクテリアを隠れ家とするツノナシテッポウエビも見ることができました。
自分でシアノバクテリアを栽培して成型して、流されないように基質にくっつけたりするそうです。
まサンゴの病気やサンゴを覆って殺してしまうカイメンなども見ることができ、色んなサンゴや生物に水槽にくぎ付けでした。
|  真剣に説明を聞きながら観察 | 
  シアノバクテリアを棲家にしている ツノナシテッポウエビ | 
|  ハナガササンゴを触ってみると・・・ |  次々と触手を縮めてしまいます。 | 

矢印がスウィーパー触手
夜にはサンゴの蛍光発色の観察です。山城先生が準備をしてくださったブラックライトと黄色のメガネで見ると、サンゴがキレイ蛍光色を発しているのが観察できました。水族館などでもブラックライトが当てられているサンゴを見かけますが、実際に近くで見ることができてとても面白かったです。
|  ブラックライトに照らされて |  蛍光に光ります |  サンゴの蛍光発色 | 
12日は、曇り空で軽く雨がぱらつきましたが、暑すぎず無事に磯採集を行うことができました。
何名かは海に入って、皆めいめいに磯採集を満喫しました。生物の種類はあまり多くありませんでしたが、沖縄にしかいない種も多く見られ、本州では見られないサンゴ礁の環境を見ることができました。
|  歩いて生物を探します |  シュノーケリングで観察中 |  カニの脱殻とイソアワモチ | 
午後は、採集してきた生物の同定と観察を行い、海産無脊椎動物78種(+原生動物)を採集・目視観察することができました。貝類が最も多く、ハナザラ、ウミウシ類など24種を確認しました。また、サンゴの標本や骨片の観察を行いました。
|  サンゴの標本や骨片の説明 |  サンゴの標本 |  観察した種を書き出していきます | 
また、山城先生からクサビライシのお食事シーンを見せていただきました。シラスをクサビライシの上に乗せると、触手で運んで行って最後は中央の口に吸い込まれていきました。思っていたより早めのスピードでした。動きがなくて、一見、石のように見える生物も、他の生物と同様に摂餌をして、しっかりと生きていることを感じることができました。

クサビライシ、中央の口の中にあるのがシラス
懇親会は中庭でバーベキューをしながらの懇親会です。スタートは明るい時間でしたが、楽しくおしゃべりをしながら過ごしました。
最終日は掃除・片付けをして解散しました。観光してから帰る人、実験所に残る人などそれぞれに沖縄で楽しんで帰途につきました。普段見ることができないサンゴの生態や形態を知ることができ、濃い内容の勉強会になったと思います。参加者の皆さま、今年の磯の生物勉強会、お疲れ様でした。

(菅佐原智治氏撮影)
観察された生物
|  |  |  | 
| 太陽の砂(カルカリーナ) 
 | ヒメアンドンクラゲ | キクメイシの仲間 | 
|  |  |  | 
| コウダカカラマツガイ 
 | ハナザラ | ハナマルユキダカラ | 
|  |  |  | 
| ムカデミノウミウシ、 コナユキツバメガイ
 | イソアワモチ* 
 | チドリミドリガイ | 
| 
 | 
 |  | 
| カメノコフシエラガイ | ビワガタナメクジ 
 | ウデナガカクレダコ | 
|  |  |  | 
| フトユビシャコ* | オトヒメエビ* | イソクズガニ | 
|  |  |  | 
| ケブカガニ | アオヒトデ* | シカクナマコ* | 
*(菅佐原氏撮影)















